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肝臓には動脈,静脈以外にもうひとつ門脈と呼ばれる太い血管があります。その血管を動物由来の接着剤で塞いで(つまり門脈を塞栓して)血流を肝臓のある部位に行かなくしてやります。その部位とは右葉(肝臓の右側のこと)です。この血流停止により右葉は縮み始めます。と、同時に左葉は肥大し始めます。左葉が肥大したことにより、右葉の大部分を切除しても肝機能は(やや落ちるものの)正常に機能します。本当に人間(ないし動物全体)の体はうまいことできているものですね。

もう1つ動物の体の仕組みで驚かされることは、門脈塞栓で使用した接着剤が「動物由来」だということです。この接着剤は時間が来れば自然に溶けてしまいます。縫合の意図と同じ仕組みです。そして時間が来れば一旦血流を停止しておいた右葉に再び血液が流れ込み再生に向かいます。この文書は術後半年で書いているのですが、もう以前と同じような肝臓がCTで確認できています。

右の写真は、退院直後に撮影した門脈塞栓術に使用のカテーテルの「穴」です。門脈塞栓術は、部分麻酔で行われるのですが、痛みは皆無と言っていいほどです。以前、自分の不注意で右肩の抗癌剤点滴用ポートを除去せねばならないくらい膿ませてしまいました。これも部分麻酔で行われたのですが、この時は、肉の焦げる臭いがやけになまなましく、好きになれませんでした。今回は臭いもありません。もう今は探してもこのカテーテルの「穴」すらみつかりません。
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